写生地 荒崎海岸

 バス停から遊歩道に従い木々に被われたゆるい坂道をのぼり、ひと汗かいた所の樹間から海が見えてくる。コンクリート製の丸太の柵が現れた辺りが荒崎海岸の高台になり、岩にしがみつくように永い年月潮風に吹かれ耐えてきた一本の黒松がある。枝は陸地の方向をむき、その樹姿は見ごとに絵心を誘う、永いつき合いをしている。晴れた日には遠く伊豆の山々、相模湾上に浮ぶ富士も画面に収まる。岩場に下り磯の香を存分に吸い次の写生地に向かう。この海岸の岩場は波状海蝕台地で、のこぎりの歯のように鋭くとがった岩が重なり合い他では余り見掛けない岩場だ。左手先方に松を乗せた弁天島がスケッチを求めている。岩に打ち寄せる潮の満ちている時の波もよいし岩礁越しに沖を行く大型タンカーや漁船、多数の白い帆が走るヨットも対照になる。剱崎海岸や荒崎海岸は岩礁地帯の続く荒波と潮風に浸食された奇岩、絶壁、海蝕洞が多くみられ潮だまりや砂浜で遊ぶ子供達や磯釣に一心の大人、バーベキューを楽しむ若い男女など休日には賑わい、人の手の入っていない自然ある海辺風景が見られる。

荒崎弁天島 F8

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